2025年04月19日

住宅街の個人店収益検証(実例3)

先日は、都区内住宅街にあるお店を2店舗、調査に伺いました。


1店舗目はオープン4年目のイタリアンレストラン。


席数は20席で、面積は12、3坪といった広さでしょうか。

情報では連日満席でいつも賑わっているとのこと。

駅徒歩4分弱ではありますが、このお店以降には住宅しかない立地です。


チャージやサービス料はなく、

私たちの当日飲食での消費形態は、

1人ドリンク3杯(@1,200円)、フード2皿(@1,216円)で客単価7,000円でしたが、

食べログ口コミ集計客単価は8〜9千円台でしたので、平均消費形態は3杯3皿と見えます。


火曜日定休日で営業日26日間、満席率8割と見て、平均1回転すれば、

月商3,328,000円


1階路面店ということで、住宅街を勘案しても家賃が坪単価3万5千円は下らないと見て、42万円程度

原価は40%程度と見えるクオリティとボリュームでした。


家賃と原価で52.6%、その他経費で10%見たとしても、

ご夫婦での営業ですので、手残りは37.4%で120万ほどあり、

報酬100万取っても営業利益は20万円(6%)残りますね。


2店舗目は同じ住宅街にあるショットバーへ。


カウンター8席のみでオーナーバーテンダーお一人での営業で、

ハイボールやカクテルを計4杯いただいて7,200円(@1,800円)


平均消費形態をバーの2.8杯と仮定すると客単価は5千円程度と見えます。

19時から深夜3時ごろまで営業されており、

満席率9割と見て、1日1回転平均7名来店とすると、

こちらも火曜日定休日ということで26日営業で、

月商910,000円


原価率2割程度と見え、店舗面積5坪(@35,000円)と見て家賃17、8万円程度とすると、

家賃と原価で40%程度に収まれば、その他経費10%見ても、

バーテンダーの手残りは半分の45万程度となり、

報酬40万円取っても、営業利益は5万円(5.5%)残ります。


どちらも個人オーナー店ながら、そこそこ良い客単価を取っても、

住宅街でもしっかり常連客をつけてこの想定の客数にいけば、

個人1店舗であれば長く営業できる良い店としてやっていけるのです。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:業務店調査
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2025年04月12日

ある地方都市での業務店調査 part.2

先日、千葉県中西部の商業都市に伺った際、

当地のオーセンティックバーへの業調を行いました。


この都市、人口は13万人強と、

以前、こちらで記事にした九州某都市とほぼ同じ人口規模で、

比較の意味でも業調のしがいがありました。


先ず、業調前に街中を歩いて現調を行いましたが、

その印象は、「撤退空き物件が目立つ」こと。


地方都市特有の問題ともなっている駅前の百貨店閉店も、

やはりこの都市でも起きていて、

駅前の(旧)商業ビルには市の施設やカラオケが入るも、

もぬけの殻に等しい状態でした。


当然、街中にも空き物件が目立ち、

週末の夜に出歩いても、人通りはまばらでした。


夕食に地魚の老舗のお寿司をいただいた後、

オーセンティックバーへの業調を開始。


先ず1軒目には、創業15年になるというカウンターバーで、

18時のオープン直後に伺いましたが、その後1時間ほどでカウンターが満席に。


マスターにお話しを伺うと、コロナ前は若いバーテンダーを育てていたものの、

今は週末アルバイト程度で、ワンオペ営業となり、

次の世代のバーテンダーを育てることができなくなってしまっているとのこと。


この街ではもっとも流行っているバーとの記事も見ましたが、

そんなお店ですら、こうした状況なのですね。


次に、街でもっとも老舗のオーセンティックバーへ。

創業35年とのことで、店内もまさに“ザ・オーセンティック”な内装です。


こちらもやはりマスターお一人での営業とのことで、

お話しでは、この街でオーセンティックバーと呼べる店は、

今回の2軒だけになってしまったとのことでした。


東京湾アクアライン開通により、さらに夜の街から人がいなくなったお話しなどは、

北陸新幹線の金沢までの開通を受けて、金沢の夜の街から人が減った例と同様で、

日帰り出張可能による宿泊減、夜の街の景気低迷に繋がる事例だと感じました。


両店ともに素敵なバーで、常連客もしっかり付いているようでしたが、

週末の営業にしては勢いがあるという感じでもなく、

平日の状況は想像に難くないと思いました。


このままでは将来的に、10万人〜30万人程度の地方都市から、

オーセンティックなバーは無くなってしまうのではないかとさえ思える状況で、

本格的な日本のバー文化は、主要都市から大都市だけの文化となってしまうのでしょうか。


前回の九州地方都市の業調でも感じましたが、

東京や大都市の業務店ばかり見ていては見誤ることもあることを、

今回も再確認できた有意義な調査機会となりました。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2025年04月05日

関税を契機に

先日、米国による各国への相互関税が発表されましたね。

日本には24%の相互関税とのことで、

株式市場にも同様が広がりました。


メキシコ産テキーラの報道では、

これを受けて米国向け輸出が急増、

価格高騰を見越した在庫確保の動きが広がっているとのこと。


他の報道では、

テキーラの米国を主要な輸出先とする戦略を見直し、

日本を含むアジアやその他の国や地域への輸出に力を入れていくとのこと。


テキーラ、今、日本でもかなり伸びているので、

今後の展開に注目しています。


翻って日本酒と米国関税関連の報道は、

現時点ではあまり多くなく、反応が薄いのか、取り上げていないだけなのか、、


2024年の日本酒の輸出額ランキングでは、

米国が中国に次ぐ2位ですが、

1位の中国と3位の香港が経済不況で減少傾向の中、

米国は増加傾向にあったようなので、

今回の関税の影響は小さくは無いのではないでしょうか。

(ちなみに輸出数量では米国が1位)


前述のテキーラは国を挙げての輸出産業であるのに対し、

日本酒は未だメイン市場は日本国内と言ってよく、


私的には今回の関税を契機に、

前述のテキーラのように輸出先を他に模索するばかりではなく、

日本国内の日本酒飲用の新市場創造に本腰を入れてもらいたいと思っています。


今の清酒における日本国内の需要創造の取り組みは、

まったくもって十分ではなく、理にかなっていないように見ています。


これを機に、本格的に理にかなった清酒の国内市場創造に臨む社は出てくるでしょうか。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画