2021年08月28日

【場】(BAR)の存在意義

ネットショッピングでモノを買い、玄関先で受け取る。

コンビニで手軽に缶のお酒を買って飲む。

ステイホーム中のオンタイムはテレワーク、オフタイムは配信サービスで映画や音楽を楽しむ。

自宅に居ながらにして生活の全てが不自由なく完結する時代にあって、
【場】(BAR)にどんな存在意義があるというのか?

こんな問いが企業のPR担当者や経営者から聞こえてきます。

消費者はネットでの購買活動が主なのだから、ネット広告に力を入れようと。

これまで私が接してきたそんな声には共通の落とし穴があるように思います。

それは、ネット広告等で高いPVを獲得(またはTVCMで多く視聴)し、多くの買い手(飲み手)の目に留まりさえすれば、商品は売れていくものだ。というものです。

自分自身を顧みても、類似の体験をしたことがない、そもそも興味もたいしてないモノの広告が目に入ったからといって、購買行動に移った経験がどれだけあるでしょうか?

さまざまなネット広告やTVCMには毎日何度も何度も接している訳で、目に入っただけで買っていたら当然すぐにお金もなくなります。

ちょっと考えれば自分自身はしないのに、買い手(飲み手)はするのではないかと思ってしまう落とし穴です。

例えば、、
日本酒愛飲層のメインは高齢者で、コアなファン以外の一般的な若い人は日本酒を飲まない、なんとか新たな飲み手を創造したい。

そのために芸能人やアニメとコラボする、、ネット広告に力を入れて動画PRに投資する、、あの手この手でPRするものの、まったくといって良いほど新しい飲み手は創造されていない。

ではどうしたら良いのか?

一般的な日本酒を飲める【場】(BAR)を増やす。既存の日本酒専門店ではなく、一般的な料飲店で一般客が普通に日本酒を飲む環境を開発することです。
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MOTOZAKEはカクテルベース日本酒として2021年に生まれた初めての統一ブランドです。

重ねて言いますが、既存の日本酒専門店ではなく一般的な料飲店でです。

近代の新たな飲酒文化は全て料飲店発で生まれてきました。

競合の酒類がなかった時代はどこの店でも清酒しかなかった。
以降…
バーだけでなく和食店で飲まれるようになってブームとなったウイスキー。
和食、居酒屋、スナック等でウイスキーのメニューに取って変わった本格焼酎。
某チェーン居酒屋のメニューとして全国展開とともに広がった酎ハイの甲類焼酎。
イタリアンレストランの拡大展開、浸透に併せて飲まれるようになったワイン。
ハイボール料飲店展開で復権したウイスキー。
某芸能人が居酒屋で飲み尽くしたところから広がったレモンサワー。

どの酒を取っても、始まりは料飲店であり、そこで一般客が体験を重ね、それが紡がれて新たな飲酒文化が創造されました。

実際の体験の重なり無くして売れた酒というのは無いのです。

酒類に限らず、企業のパイロット店舗でも、
【場】(BAR)は、この体験の重なりを生み出すことが存在意義であり、そこにはますます、“非日常”や“承認”、“感動”や“喜び”などなどの高い付加価値が求められるようになっています。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2021年08月21日

【場】(BAR)の人材育成

飲食店は勿論のこと、企業等が新たに【場】(BAR)=パイロット店舗をつくるとき、
最大の懸案と言って良いのが、そこで働く“人”の問題でしょう。

店舗の運営が専門外の企業であれば、他社へ運営業務委託をすることが多いかもしれませんが、

専門外の企業が自社でパイロット店舗の運営を行う場合、
社内から人を割くことは簡単ではなく、アルバイトを雇っても、店舗の専門的な育成のノウハウがないことから、個々のスキルに任せた運営を行うと、その質にバラつきが生じます。

ではどうすれば良いか?

先ず肝要なことは、“人”の問題の優先順位を高くすることです。

どうしても、「本業でない」「成果を見える化しずらい」「質に目をつぶれば、運営が止まっている訳ではないので、後回しになっている」等々の理由で優先順位が下げられ、放置されることで、せっかくつくったパイロット店舗の価値を良く活かすことができないままに、結果、もったいなくも止めてしまう事例を散見します。

そこで実際に毎日働く“人”の質の重要性を運営側が認識し、優先順位を上げて取り組みを行えば、
しっかりと『人材育成』に投資する、専門的な研修を受けさせる、店舗運営およびサービスのアドバイザーを外部委託するなど、
ノウハウの構築に向かわせることができます。

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※全国各地の六蔵元と岡本屋永吉商店が参加するパイロット店舗『SAKE HALL』

【場】(BAR)から自社の価値を発信するためには“人”が介することが大切であることを認識し、【場】をつくる投資には『人材育成』まで必要であることを運営者が理解することができれば、

【場】(BAR)=パイロット店舗は、継続して自社の魅力を発信する拠点として活かすことができるでしょう。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2021年08月14日

BAR【場】運営の成功&継続に大切なこと

店を本業としていない企業がBAR【場】を開店・運営される際、建屋や内外装デザインや提供物など“見えるもの”は重視され、投資されるものの、

“見えないもの”どんな店舗になりたいのか、どういうお客様に、何を伝えたいのか、訪れた方にどんな気持ちになってもらいたいのか、といった『店舗コンセプト』を、働く人、一人一人が現場で実際に体現することができることは重視されず、投資されないことが散見されます。

どんなに素晴らしい“箱”をつくっても、流行りの商品を提供しても、
そこで実際に働き、お客様を迎え、おもてなしする“人”を介してしか、企業が伝えたいことが伝わることはありません。

ではその“人”を介して、店舗コンセプトを毎日継続的にお客様に伝えるために大切なことは、

【コンセプター】(※コンセプトを創出、提案する人)

の存在の有無です。

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日本酒カクテル専門店SAKE HALLは10年コンセプトを発信し続け、2021年7月新たに進化して移転開店しました。

店で働く“人”も一人一人、人間ですので、感情もあり、体調もあり、また長く同じ場所で働けば慣れも生じます。
さらには、人は「易きに流れる」と言われるように、楽で容易な方へと流れるものであります。

それに対し、お客様にとっては楽しみにご来店される非日常の特別な時間なのであり、
その両者のズレが、店舗運営の最大の問題と言っても良いのです。

【コンセプター】は、
店を生み出した時のコンセプトを、開店時の熱い気持ちのままに持ちながら、店で働く“人”にその熱を伝導し、
日々常にお客様起点に立って店を見ながら、『店舗コンセプト』という『柱』に易きに流れがちな“人”を繋ぎとめ、引き戻します。

パイロット店舗を構えたものの、自社の良さ(価値)を伝える【場】になっていないのではないか?

このような問題意識がある場合、【コンセプター】が店にいるかどうか、また、【コンセプター】を育てる仕組みがあるか、見直してみてはいかがでしょうか。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画