2021年10月30日

不便でも関係ない。人が集まる【場】

近年、都心の一等立地ではなく、

各駅停車しか停まらない郊外の駅にも関わらず、

夜の客単価が1万円を下らないレストランで超繁盛店というお店が増えているように感じます。


これと同じように、魅力ある【場】業態でも、

立地に関係なく、人がひっきりなしに訪れる。そんなお店が各地にありますね。


先週の週末、仙台へ出張した際、

『陶芸』をコンセプトに、陶芸教室やギャラリーでの展示、販売を行いながら、

飲食店を併設し、ランチ、カフェ、そして夜はバーを営業するお店に伺いました。

場所は仙台駅からも離れた車でしか行けない住宅街の中にある森の中。

雨の降る中、12時の開店と同時に伺いましたが、すでに駐車場はいっぱいで、

ウェイティングが出ている状態でした。

その後も次々と、若い女性を中心に、カップルやファミリーがひっきりなしに訪れ、

陶芸のギャラリーや、お菓子の購入、そして飲食と、それぞれに楽しんでいます。
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ランチの後に、売っているスコーンを買ってその場でいただきたいと伝えると、温めて提供してくださいました。


ひるがえって昨晩、都内は世田谷の某繁華街でお店を構えるバーテンダーさんに話を聞くと、

それまででは考えられなかったような駅前近くに「デイサービス」施設がオープンしたり、

繁華街の飲食店が立ち並ぶど真ん中に「保育園」ができたり、

チェーン居酒屋撤退の跡に、「フィットネス」や「学習塾」ができたりしているとのこと。。



これまで非日常だった立地が日常立地へ、そしてまたその逆も、立地に対するニーズの転換が起こり、

その変化は、新たな魅力ある【場】Barづくりにとって、チャンスになりえるものだと感じています。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2021年10月23日

何屋か問われる

コロナ禍でいわば外食“禁酒法”が継続的に出され、

規模の大きなチェーン居酒屋ほど影響を受けて業態を、

「食堂」や「寿司」、「唐揚げ」や「焼肉」などへ変更する。


また、中小和酒メーカーがコロナ以前からの日本酒や焼酎の売り上げ長期低迷を受けて、

「ウイスキー」や「ジン」などの洋酒製造に参入する。


コロナ禍で個人店飲食店がデリバリーに手を出して、その多くは失敗し、止めてしまいました。


『餅は餅屋』『馬は馬方』『蛇の道は蛇』といくら言われても、

売り上げが悪いのだから、斜陽産業なのだから仕方ないではないかといって、

『藁にもすがる』思いで『レッドオーシャン』へ…

といったところでしょうか。


私は前職から【Barは文化だ】と育ちました。

そして【居酒屋も文化】、いうまでもなく【酒は文化】と思っています。


以前のブログでも取り上げましたが、

“文化”とは「生活様式」なのであり、

「生活様式」を簡単にコロコロ変えることはできないと思います。


流行っているから、、売り上げが悪いから、、当然そうなのでしょう。

しかしながら、当然「ウイスキー」にも「ジン」にも長い歴史と文化があります。
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※私が二十数年前にスコットランドで47箇所のウイスキー蒸留所を訪問した際のお土産の一部。

「食堂」にも「寿司」にも、そして「デリバリー」にも本業のプロの人たちがしのぎを削っています。


“青そうに見える隣の芝生”に安易に移るのでは無く、

立ち止まって自社・自店は“何屋”なのかを自身に問うてみてはいかがでしょうか。


「ウイスキー」ができたように、

新たに飲み手を創るために取り組むべき実績ある方法は明確にあり、

「日本酒」も「焼酎」も必ず復権できる
と私は確信しています。

和酒の歴史、文化を継承しないのはもったいない限りだと私は思っています。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2021年10月16日

地域の魅力を伝える【場】Bar

先週末、勝沼のワイナリーを巡る出張へ出ました。

土日二日間合計で23km程度を歩き回り、9つのワイナリーや観光施設を訪ねてきました。

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勝沼地域を歩いてまず何より体感することは、勝沼ぶどう郷駅を降りてからずっと、ぶどう畑の中を歩いていると言って良いほど、山肌や道路脇はもちろん、民家に見える普通の家の軒先まで、ひたすらに“ぶどう”“ぶどう”“ぶどう”であるということです。

昔、バックパックで歩いたフランス ノルマンディーのシードル街道のりんごの木々を思い出しました。
その時も現地を実際に回ったことで、カルヴァドスが大好きなお酒になり、20年以上経った今でも、探訪の記憶は鮮明に蘇ります。

このように、地域の魅力が伝わるには、実際に現地に来てもらうことが最も大切であることは言うまでもありません。

しかしながら現地に滞在する中で、後々まで記憶に残り、例えば勝沼であればどこのワインを、ノルマンディであればどこのカルヴァドスを、その後帰ってからも買ったり飲んだりするかという時には、何が重要な要因になるか?

ただ現地を歩くだけや、試飲したというだけではそうはならないでしょう。

私が今回の勝沼探訪で再確認したのは、“人を介して魅力を伝える”ことの大切さであり、

訪問者に直接話ができる【場】Barの必要性でありました。

あるワイナリーでは自由見学施設や売店、コイン試飲コーナーがあり、見たり飲んだりして時間を過ごすことはできましたが、購入したり継続して飲もうと思ったりする気持ちは湧きませんでした。

またあるワイナリーでも見学や売店、試飲があるのは同じながら、
【場】Barカウンターで試飲している時に話かけて下さり、造り手の思いや歴史、さまざまなストーリーを聞かせて下さったり、こちらからの質問にも答えて頂くなどしながら、ワインの試飲を楽しむことができ、

そのままそこのワインを購入するとともに、そのワイナリーについて識ることで、今後も飲みたいという気持ちが湧きました。

訪問者の貴重な時間を有意義に使わせてもらい、しっかりと自社や地域の魅力を伝えることができる【場】Bar。

【場】Barがなければ、自由見学や売店散策している訪問者の足を止めて、押し付けではなく有意義に魅力を伝えることは簡単ではないでしょう。

【場】Barがあるだけで、味を利くための試飲の時間内に+α、自社や地域の魅力を伝えることができ、訪問者の時間も余計に頂くことなく、試飲中の時間内に行うことができるのです。

“人を介して魅力を伝える”機能としての【場】Bar。

今回の勝沼だけでなく、20年以上前のノルマンディ カルヴァドスでもやはり同じことを感じ、今でも記憶が蘇るのは“人を介して伝えられた魅力”です。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画