2021年10月09日

『定番酒』

清酒の業界に『定番酒』という言葉があります。

「『定番酒』は売りにくい、季節酒や限定酒が売りやすい」

「『定番酒』は飽きられているのではないか」

などという感じで使われます。

Wikipediaで「定番」を調べてみると、

“流行や情勢にかかわらず安定した売り上げを確保できる商品”

“(品番が一定であることが)転じて一般に広まり、当たり前となっていること、決まりきっていること”

とあります。

それでは清酒において『定番』という言葉は成立するのでしょうか?

否。

国税庁のデータ「酒類消費数量」で清酒は6%もないのであり、とても一般に広まり、当たり前の酒になっているとは言えず、

また、2011年の東日本大震災の復興支援の機運による増はあったものの、それからの10年だけみても、いわば“流行や情勢”に押される形で三割(課税数量)も減少してしまっています。

私たち「バー」洋酒の業界から見ても、いわゆる蔵元の『定番酒』と言われる酒自体馴染みがなく、まったく新しい酒であると言って良い状態です。

いわんや“一般人”をや

であります。

『定番酒』という言葉自体がそもそも成立していないのであります。

だからこそ、清酒、日本酒の復権には、清酒の既存のファン、日本酒専門店といった既に飲まれている“6%”に対してばかりでなく、

そもそも飲んだことのない、日本酒の魅力に接したことのない“6%”以外の層が愉しめるような新たな“飲み【場】”を増やす展開が必須なのであり、

それをせずして新たな“飲み手”の創造はあり得ないといって良いと思っております。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2021年10月02日

麹文化の酒の飲み【場】を増やす〜SNSコミュニティの外へ〜

難しい言葉ですが、「エコーチェンバー現象」(※Wikipediaへリンク)ということが言われています。

要は、“閉鎖的コミュニケーションの繰り返し”

日本酒業界では、

年齢性別を問わずいる“コアな日本酒ファン”と業界関係者が集まる日本酒イベントが各地で開催され、

造り手と飲み手、さらにはファン同士がSNSでも繋がり、

その中で似た考えや意見、共感を得やすい情報のみが増幅、強化されていくことで、

新たな気づきを失い、知らず知らずのうちに新たな飲み方や飲み手が愉しめるような多様性を排除してしまっているような現象が見られます。

「イベント盛況、実需低迷」

「イベントやSNSでは若い人や女性に日本酒ファンが増えているのに、実需は伸びない」

「海外ハイエンドレストランでの好反応や、著名人や専門家、インフルエンサーによる発信強化がなされるも、減少傾向に歯止めがかからない」


といったことは、私はこの「エコーチェンバー現象」だと思っています。

要は、好きな人や業界内だけで盛り上がっているだけで、その外にいる“新たな飲み手の創造”にはまったく繋がっていないと言って良いのです。

ではどうすれば良いのか?

こういったSNSで繋がった同類コミュニティの外へ『日本酒の飲み【場】を増やす』ことが必要と考えます。

2本前のブログ記事でもお伝えした通り、

■日本酒専門店ではない既存の料飲店のドリンクメニュー採用を展開する。

■いわゆる飲食店ではない【場】への豊かさを高める要素として“飲み【場】”の併設を展開する。

この2つを“ゼロイチ”戦略で展開することしかないと確信しております。

既存コミュニティの外へ日本酒の良さ(価値)を伝える!

このための投資と中長期的に集中して展開する戦略をもって臨まない限り、

日本酒の実需が根本的に伸びることはないと言って良いと思っています。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画