「『定番酒』は売りにくい、季節酒や限定酒が売りやすい」
「『定番酒』は飽きられているのではないか」
などという感じで使われます。
Wikipediaで「定番」を調べてみると、
“流行や情勢にかかわらず安定した売り上げを確保できる商品”
“(品番が一定であることが)転じて一般に広まり、当たり前となっていること、決まりきっていること”
とあります。
それでは清酒において『定番』という言葉は成立するのでしょうか?
否。
国税庁のデータ「酒類消費数量」で清酒は6%もないのであり、とても一般に広まり、当たり前の酒になっているとは言えず、
また、2011年の東日本大震災の復興支援の機運による増はあったものの、それからの10年だけみても、いわば“流行や情勢”に押される形で三割(課税数量)も減少してしまっています。
私たち「バー」洋酒の業界から見ても、いわゆる蔵元の『定番酒』と言われる酒自体馴染みがなく、まったく新しい酒であると言って良い状態です。
いわんや“一般人”をや
であります。
『定番酒』という言葉自体がそもそも成立していないのであります。
だからこそ、清酒、日本酒の復権には、清酒の既存のファン、日本酒専門店といった既に飲まれている“6%”に対してばかりでなく、
そもそも飲んだことのない、日本酒の魅力に接したことのない“6%”以外の層が愉しめるような新たな“飲み【場】”を増やす展開が必須なのであり、
それをせずして新たな“飲み手”の創造はあり得ないといって良いと思っております。
環境開発計画 山本 利晴
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