世界では、企業の環境、社会問題への対応などを考慮した投資、
『ESG投資』が広がり、その観点から今後、
酒類メーカーが投資対象から外されることになる流れがありますね。
酒類メーカー起点では、商品戦略の“低アルコール化”や、
産学で「不適切な飲酒」課題解決への取り組みを表明するなど、
取り組みを進めています。
現下、コロナでよく聞くようになったWHO(世界保健機関)でも、
“アルコールは有害”と明確に表明しており、
先に同様に扱われた“喫煙”と同じ道を、“飲酒”が辿ることは明らかです。
これもコロナで話題になりましたが、
日本では深夜でもお酒を買うことができ、道端で飲んでも法を犯すことにはなりません。
さらには、ヨーロッパの一部の国などでは違法である、
“定額飲み放題でのアルコール販売”ですが、
日本では居酒屋文化の中でむしろ主流と言って良い販売方法です。
特に和酒業界では、この“飲み放題”こそ、業務用収益のキーになると言うメーカーもあり、
要は、飲み放題で過剰注文されたとっくりに飲みきれず残るお酒の売上がばかにならないというのです。
しかしながら日本でも、アフターコロナ、そして2025年の万博開催に向け、
世界的潮流に合わせるべく、飲み放題を規制する動きが加速しそうな様相です。
このように見ていくと、日本は“飲酒”の側面でもまさに“ガラパゴス”化していると言って良いと思います。
では、このような世界的潮流の中、
我々日本のお酒の文化創造や継承に取り組むものはどうすべきでしょうか?
大手メーカーがノンアル、低アル化を推進したり、不適切飲酒をさせない啓蒙活動を進めたりするだけでは、
この潮流には立ち向かえないと私は思っています。
飲食業界でもよく言われることですが、
「健康を謳う業態はだいたいすぐ潰れる」
「飲み場で“健康に良いドリンク”を勧めても流行らない」など、そもそも人が“飲酒”に求めていることは、“生理学的な健康”ではなく、
愉しみ、人との交流、非日常、文化的嗜好など、
“人間らしい豊かさによる健康”であり、
だからこそ有史以来、たとえ禁酒法が制定されてもお酒が絶えることがなかったことが、なによりの証左だと思います。
であればやはり、
ただただ“生理学的な健康”を気にする“家飲み”市場では結果、「適正飲酒」は浸透することはないと言って良く、
「適正飲酒」の啓蒙も“飲み場”(業務用市場)から浸透させるべきであり、
今後はやはり安酒でバンバン飲み放題というのは廃り、
“飲み場”の付加価値を高めるような酒類提案のストーリーの中に、
「適正飲酒」に繋がるメッセージを付加できるような酒類展開が推進されることにならざるを得ず、
ますます
業務用営業における高付加価値提案営業の重要性が高まると思っています。
環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00|
環境開発計画