商品になじみがない層に価値を発信するには、
SNSや動画でインフルエンサーに発信してもらうことが有効。
とあった。
本当にそうだと考えているのだろうか。
まったく別のある記事では、
顧客価値体験で必要なことはいわば“表明と開示”を前提に、
かつ、その情報の受け取り手にとってあるたくさんの選択肢の中で、
【受け取り手自身にとって意味があるかどうか】が重要だとある。
この2つの間にある齟齬はなんだろうか。
それは、『自分』という主語が明確に異なる点ではないだろうか。
前者では『自分』とは、その業界人たち。
後者では『自分』とは、消費者である。
当然、その商品が売れているのは後者であり、前者は市場がシュリンクしている。
『自分』=“わたしごと”になるには、
その消費者の生活の中に実地として現実に入り込まなければ“わたしごと”にはなり得ない。
一見、SNSやインフルエンサーは、一般消費者の生活の中に入っていると思いがちだがそうではない。
“わたしごと”にして思い返してみれば自明の理だが、
自分の見たい情報を見ている中に、自分にとって意味のない情報がインフルエンサーから流されたとしても、完全にスルーしてはいないだろうか。
いや、スルーしたことにも気づかないくらい、眼中に無いではないだろうか。
TVCMだろうが、有名人だろうが、インフルエンサーだろうが、
“わたしごと”でないものはそもそも見もしないのである。
消費者の“わたしごと”に新たに入り込むには相応の投資と、すぐには結果が見えづらい、汗と涙の地道な現場展開が必要なのであり、
そろそろ、“効果的”とか“効率的”とかいう言葉に隠れた、人任せで自らは汗をかかない戦略を改める時ではないだろうか。
環境開発計画 山本 利晴