2022年09月24日

外見カッコ良いハコをつくれば良い?

最近、酒蔵が観光施設や併設飲食施設を新たにつくるといった話が多々聞かれるようになりました。

私も先日、北関東のとある酒蔵に併設される和食店に伺いましたが、

料理は素材の良いものを使っているようで美味しかったのですが、

サービスはいわゆる大チェーン店ファミレスのような印象を受ける接客でした。

残念です。。


また、とあるビジネス誌に、“B級観光”云々との記事があり、

その問題点が指摘されていました。


なぜこうしたことになってしまうのでしょうか?


一言で言えば、“つくって終わり”

デザイナーと称する人に依頼して、ただ外見カッコ良いハコをつくって、

メディアに一時取り上げられて、

そこのお酒のファンや業界人が来て、なんとなく賑わっているような見え方になる。

しかしながら、そうしたお客様は次々新しい施設ができるたびに、

一回顔を出してまた次へ行くため、当該施設はすぐに忘れられ、

気がつくと一巡して、「酒蔵が観光施設をオープン」というニュースが聞かれなくなる。

そんな流れが容易に想像がつきます。


ではどうすべきなのか。


私がご縁をいただいて取り組みさせていただいている施設では、

メーカー社員の皆様にしっかりとプロのサービスの訓練を受けて頂き、

数値的な側面からも、こうした業態のあるべき数字を追求するなど、

いわば“餅は餅屋”のノウハウを時間をかけて提供しています。


このような表には見えない、“人が介する”ところを重視すべきと考えます。


そうすると、そこで働くメーカー社員の皆様には元々自社へのロイヤリティが高いところに、

店舗の専門的な能力がつくことで、お客様が喜ぶさまざまなアプローチを、

現場が自ずから日々追求できるようになるのです。


このように現場で働く“人”に力を注がず、ハコをつくって終わりではまさに“B級”。

お客様の喜びのないところに“A級”はなし。

しかしながら、そこへの投資を行う酒蔵は多くないのではないでしょうか。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2022年09月17日

また1から?

リアルでのお酒の展示会は、

ほぼ全てが再開されていると言って良いのではないでしょうか。

私も最近いくつかの展示会に久しぶりに参加させて頂いております。

そこでよく聞く声が、メーカーさんからの、

“また1から”

という声です。


コロナ禍からの完全復活は未だ遠く、

また元に戻るとも言えない飲酒文化の変容に、

原材料上昇による値上げなど、

何重にも重なるアゲインストにさらされながらも、

さらには明確な打ち手も見出されていない中でも、

めげることなく“また1から”ご縁を紡いでいく。


こうした声に、私も少しでも貢献できるよう、

励んでいこうと思いを新たにしています。


しかしながら、、

このような声をよそに、

「売るお酒がなくなっていて、早くお酒を造って、待っているお客様に届けたい」

「イベントを再開したが、予約が殺到して、受け付けられなかったお客様に申し訳ない」


などといった造り手もおられました。


“また1から”はじめるメーカーさんとの違いは何か。

それは絶対的に多くの“ファン”がいるかどうかです。


広く浅く、ただ売るだけのメーカーと、

しっかりとリピーターをつけてきたメーカーと、

ここにきて圧倒的な差となって表れています。

この差は今後、さらに大きく開いてくると言って良いと思います。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2022年09月10日

飲み方が変容した飲酒文化との乖離が広がる既存の日本酒市場

先日、私がさせていただいたあるプレゼンテーションの主旨は、

“飲み場”を新たに創造しない酒は、飲み手とさらに乖離が進む。

という点でした。


現下、コロナによって飲酒の場が減り、

お酒を飲めない、または飲めるがあえて飲まない人の数が増えている上、

会社飲みなどに嫌気がさしていた人たちが、無理をして飲みにつきあうということを止め、

またこうした流れを後押しするかのように、少量飲酒でも健康被害が出ると言った論調まで出ています。

これらそれぞれはお酒を取り巻く一側面だけを捉えて、

それが全てかの如く論ずるメディアの特性と言っても良い現象であり、

シュリンクする日本酒市場にとって、争いようの無いものであるかのような雰囲気がありますが、

それは言い訳にすぎないと言って良いと思います。


コロナによって、日本酒の外飲み主戦場である【居酒屋】が窮地に陥っていることも事実です。

また、高齢化によって、日本酒の既存の飲み手が年々減少することも事実です。


であれば、日本酒は、既存の流通先、既存の飲み手ではない新市場へ、

“飲み場”を新たに創造し、新たな飲み手を増やすしか道はない
のです。


そしてそれはこれまでの酒の歴史を見ても可能であり、

人と人が交流する、人が介する『価値』が確実に見直されていくであろう、

これからの時代の流れの中で、誰かが主体性を持って取り組み続けることが、

何より重要です。

その一翼を私たちも微力ながら、担って参ります。

環境開発計画 山本 利晴
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