2022年12月10日

国内で飲まれてこその「日本酒」

先日、TVでも、日本の全酒類の輸出が1千億円を突破したとか、

日本酒の輸出が好調で、2桁、3桁増だとかいう報道がされています。

長期化すると言われる円安にも乗って、

輸出で儲けようというのは一つの流れですから、是非もありません。


しかしながら、特に「日本酒」については、

私は、国内でしっかりと飲まれてこそ「日本酒」としての持続可能性が高いと思っています。


その最大の要諦は、焼酎も含めた「日本酒」の日本固有の飲み方、

度数帯や温度帯、蒸留酒でも食中酒文化や、日本食の位置づけなど、

日本以外の外国では、飲食のインフラに「日本酒」が乗っていくには、

多彩で難易度が高い=ハイエンドや海外在住の日本人にしか市場が成立しないことがあると思います。


さらには輸出を促進すると言いながら、

「日本酒」のプロダクトやweb含めた情報発信が、輸出産業として確立されていないことも重なります。


こうした基礎的な整備がなされていないままに、

輸出が伸びた!輸出が伸びた!ばかり言って喜んでいるように見えてしまします。

輸出が伸びた!2桁増だ!と言っても、

今年10月までの清酒の輸出量累計は3万キロリットルほどで、

同期間の清酒出荷量累計約20万キロリットルほどに対し、

輸出が占めるのは15%程度です。

輸出が120%伸びても、国内消費が96%のダウントレンドだと、全体ではマイナスなのです。


さらに悪いのは、日本酒を主とする製造者において、

ただ直近で売れそうだということだけで、洋酒製造に手を出すところが増え続けていることも、

私は懸念しています。


餅は餅屋なのです。

洋酒にも歴史と文化があります。

それを表面的に真似しても、本質的には新市場とはなり得ません。


やはり、日本酒を主とする製造者は、日本酒が国内で飲まれるよう、しっかりと投資するべきだと私は思います。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画