2023年08月26日

地域開発の一環としてのクラフトビール展開

先日、立川で開催された、

『GREEN SPRINGS CHEERS DAY 2023』というイベントに伺いました。


多摩地域のクラフトビールやワイン、清酒「澤乃井」が出店しており、

芝生広場にて、ジャズライブなども行われ、

休日をゆっくり過ごすには最高のイベントでした。


開催場所となった『GREEN SPRINGS』には、

先日別件で近くまで来た際に気になっていた施設で、

イベントを機に再訪できたのですが、多くの新しい気づきに溢れる有意義な時間になりました。


その中で一つ、

出店していたクラフトビールの一つに、

『立飛麦酒醸造所(立飛ブルワリー)』がありました。


他の出店ビールに比べ、私は高い品質に感じましたので調べてみると、

運営会社はなんと、この施設自体を運営する「株式会社立飛ホールディングス」の子会社。


イベント会場の他にも、

施設内の飲食店に伺うとやはり同ブルワリーのビールがオンメニューされています。

業務用展開としてもリーシングと一貫しており、当然バッチリですよね。


この施設『GREEN SPRINGS』には、

近年他の開発物件にはない、センスの良いテナントのリーシングがなされており、

当日もいわゆるF1~F2層の女性客が圧倒的に多く、

ほぼ女性のみの行列ができているテナントも複数ありました。


こうしたセンスの良い地域開発を行う一環として、

この『立飛麦酒醸造所(立飛ブルワリー)』は、

第1次地ビールブームにできた近くの醸造所の“想いを継ぐ”という形で、

そのノウハウで高い品質のクラフトビールを、

同じく自社開発の施設近くに新たに開設、主な消費先も同施設という一貫した展開がなされていました。


やはり、クラフトビールの展開としては、

一般的な大手ビールのような大規模流通ではなく、

この事例のように、1地域の中で製造から消費まで完結する形が、

最も適した展開であろうと私は感じました。


この『GREEN SPRINGS』、まだまだ他にも発見がありそうな、最先端の施設でした。

注目してます。再訪が楽しみです!

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2023年08月19日

混沌として複雑怪奇な目下の酒業界

先日視聴した任侠系ドラマの中で、

組織が大きくなると変な者が紛れ込んでくる

的なセリフがありました。


変わって、先日ある人との話の中で、

クラフトビール市場には過去2回のブームの波があったものの、

その度に品質の安定しない個性が強いだけのビールがどんどん出てきて、

すぐに落ちてしまったが、今のクラフトビールブームは大丈夫だろうか…

と懸念する意見が出ていました。


以前このブログでも採り上げましたが、

日本酒の蔵元が、ただ流行っていて造りやすいというだけで、

日本酒の売上低迷を少しでもカバーするポートフォリオになればと、

クラフトジンを造る社が増えていることも指摘しました。

価格だけ高く、カクテルベースになりにくいようなジンが多かったですね。

早くもクラフトジンブームの声は聞かれなくなっています。。


さらに先日、あるコンビニ独占販売のスコッチモルトハイボールを飲みましたが、

スコッチモルトウイスキーと炭酸だけしか入っていないと書かれているものの、

なにかケミカルな味を感じる美味しくないRTDもありました。。

小売店には次々見たことのない安価なボトルウイスキー(?)も並んでいますね。。


飲酒人口が減少し、酒市場がシュリンクする中において、

クラフトビールも、クラフトジンも、ウイスキーも、その他の酒も、

なんとも混沌として複雑怪奇になっているように感じます。。


その中には品質を疑ってしまうような商品も相対的に増えてきているようです。

冒頭に挙げた抗争中の任侠世界(ドラマ)もそうですし、

日本の歴史ではその後の戦国乱世に繋がる南北朝時代の混乱に満ちた世界などもそう、

そして目下の酒業界も。その様相に共通点を感じます。。


少なくとも酒業界においては、

和酒なら和酒メーカーとして本業のコンセプトに一本筋を通し、

ただただ一部のコアなファンを集めたイベント開催や、

金も人もかけず、これまでの資産とも言える家飲み市場で“刈り取り”ばかりに徹するのではなく、

飲酒文化創造の源泉である料飲店業務用市場に戦略的に投資して取り組み、


“螺旋的発展”と言われるような、

酒主体の酒場の店舗現場から醸成される新たな飲み手創造、

日本酒復権の市場創造・原点回帰にメーカー主導で臨むべき
だと、

私はますます強く感じています。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2023年08月12日

酒の商品サンプリング展開

缶を中心としたRTDが酒市場を席巻する中、

各社による、ネットやコンビニ、街中などでの配布キャンペーン、

“サンプリング”展開を、見かけることが多くなっています。


その手法は様々で、アンケートに答えたらとか、

LINEに登録してくれた方の中から〜名様に当たるとか、

街中で無料配布なんてゆうものもあります。


しかしながらその多くは、

非戦略的で、KPIが正しく設定されているとはとても思えない、

ただ、なんとなく、不特定の人に飲んでもらって、

美味しいさを知ってもらいたいというような、

抽象的な目的によって展開されていると言って良いと私は思います。


その理由は、【展開範囲(エリア)】と、【サンプリング数】の整合性の無さです。


サンプリングの本来の目的は、

その酒をまだ口にしていない見込み客に口にしてもらい、

真の意味での網羅的マーチャンダイジングが構築されている新市場創造に必要な、

飲用ユーザーの絶対数の不足を補うために行われるべきなのです。


あるメーカーはその公式に則って、19万5千本を配布。

また別のメーカーはその公式を知らず、千本を配布。


千本配布のメーカーからは、

いやいや、大手のメーカーみたいに大盤振る舞いはできないよ〜

という声が聞こえてきそうですが、そういうことではありません。


公式の絶対数に届かせるというKPI無くして、

そもそもサンプリング展開をすべきで無いのです。


やるだけ無駄、なんの効果もなく、その商品はいずれ終売となるでしょう。

20万本近く配布した、公式に則った社は投資を回収し、

かたや千本を配布した社は回収できず、

ただただ、かけた金を垂れ流すばかりなのです。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画