2023年11月25日

地方でも芽吹く昼飲み文化

先日とある地方の観光地へ出張した際、

地元の酒屋さんがオーナーの和酒の立ち飲みバルにお邪魔しました。


酒屋さんがオーナーなだけあって、

クラフトビール、地酒、ワインなどの醸造酒から、

ウイスキーのハイボールなどの洋酒まで、

こだわりのお酒が愉しめ、

地元の酒蔵さんとのコラボレーション限定酒などもありました。


全員女性のスタッフは皆さん、お酒の知識も豊富で、

働くモチベーションも高く、おすすめを聞きながら、

ゆっくり3杯愉しませていただきました。


自家製の果実のキムチ(柿)など、アテも美味しかったです。


なにより素晴らしいと思ったのは、

お店の営業時間が12時〜20時という早い時間であること。


こちらの女性店長の思いとして、

この地域に“昼飲み文化”を根付かせたいとのことで、

頑張っておられます。


私が伺ったのも16時前くらいでしたが、

その後すぐに店内は満席になる盛況ぶり。


地元の他の飲食店さんとの繋がりも強いようで、

他のお店のスタッフさんも交流に訪れていました。


このように、1人の店主、1店舗の熱い思いもったお店がその地域にあるだけで、

“昼飲み文化”のムーブメントが起き、

より豊かな飲酒文化が広がって、根付いていくのだと感じることができました。


各地のいわゆる“街の酒屋さん”は厳しい経営状況に置かれていますが、

こうした展開を見ると、まだまだ活性化することは可能だと強く思いました。

愉しく有意義な時間をありがとうございました!!

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2023年11月18日

現下(R05.10)のパブ・居酒屋市況雑観

酒主体料飲店から、明るい声が増えてきました。


年末に向けての忘年会予約を中心に、数百、数千名の予約がすでに入ってきている。

酒提供営業にて、特に土日を中心に、昼間から17時前までで満席になる。

コロナ前(2019年)を超える売上を上げられている。



などなど、

本当にようやく、先の見える状況が戻ってきつつあると感じています。


しかしながら、酒主体料飲店、パブ・居酒屋全体の数字を見ると、

現下、その店舗数と市場規模(総売上)はいまだ、コロナ前の【7割】

(酒以外含む)外食全体ではすでにコロナ前の110%弱となっていることから見ても、

酒の業務用市場全体として見ると、引き続き厳しい状況が続いているのですね。


にも関わらず、私の周辺では、冒頭に取り上げたような盛り上がりを感じ、

実際に数字的にも、東京の業務用酒販店の実績を見ると、

2019年比でも110%程度になっている社もあるようです。


ということは、

東京では、酒主体料飲店も、業務用酒販店もコロナ前を超えてきているが、

日本全体の酒主体料飲店、パブ・居酒屋の総数、総売上は、コロナ前から3割落ちたまま。

要は、

酒の業務用市場の東京への集中が、益々顕著になっており、

今後もその傾向は強まる一方になる
のではないかと見ています。


東京での業務用営業の戦略的強化が求められています。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2023年11月11日

特定名称酒とレギュラー酒

何かの業界紙で、

「特定名称酒」と「レギュラー酒」が対比され、

また、“ブランド化≒高額商品”という趣旨の記事を読みましたが、

これに私はどうも違和感を覚えるのです。


清酒は過去、級別制度廃止により、特定名称表示となり、

それにより、消費者が酒を選びやすくなったかのように書かれていたのですが、

私はまったくの正反対であると思っています。


1級酒市場と2級酒市場の棲み分けはシンプルで、

V.I.も統一され、消費者は自身の購買動機に合わせて、

選びやすい状態にありました。


それが「特定名称酒」になり、

“純米大吟醸酒純米吟醸酒純米酒大吟醸酒吟醸酒本醸造酒”と複雑になり、

そこに“精米歩合酒造好適米飯米”などと言われ、複雑怪奇。

清酒はコアなファン層以外は手を出してはいけないというオーラを放つ世界観を醸成しています。


さらにそこに最近では、超高額(1本数百万円だのNFTだの)酒が現れ、

それをもって“ブランド化”されているとか言われているのです。


このように、どんどんエンドユーザーから遠ざかっています。


“ブランド”とは本体、メーカー側が提示するものではなく、

ユーザーの頭の中に醸成されるものなのですが、

今の清酒の流れは完全にその反対。ユーザーの頭の中からどんどん無くなって、

一部のファン向けコア商材や、富裕層による投機対象商材に向かっているように見えます。


「レギュラー酒」による業家連動展開で、

新たな飲み手を創造がもっとも大切な取り組みである
にも関わらず、

まったくその反対へ突き進んでいます。


清酒復権は加速度的に遠のいていると私には見えています。

誠に残念な流れです。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画