2023年11月11日

特定名称酒とレギュラー酒

何かの業界紙で、

「特定名称酒」と「レギュラー酒」が対比され、

また、“ブランド化≒高額商品”という趣旨の記事を読みましたが、

これに私はどうも違和感を覚えるのです。


清酒は過去、級別制度廃止により、特定名称表示となり、

それにより、消費者が酒を選びやすくなったかのように書かれていたのですが、

私はまったくの正反対であると思っています。


1級酒市場と2級酒市場の棲み分けはシンプルで、

V.I.も統一され、消費者は自身の購買動機に合わせて、

選びやすい状態にありました。


それが「特定名称酒」になり、

“純米大吟醸酒純米吟醸酒純米酒大吟醸酒吟醸酒本醸造酒”と複雑になり、

そこに“精米歩合酒造好適米飯米”などと言われ、複雑怪奇。

清酒はコアなファン層以外は手を出してはいけないというオーラを放つ世界観を醸成しています。


さらにそこに最近では、超高額(1本数百万円だのNFTだの)酒が現れ、

それをもって“ブランド化”されているとか言われているのです。


このように、どんどんエンドユーザーから遠ざかっています。


“ブランド”とは本体、メーカー側が提示するものではなく、

ユーザーの頭の中に醸成されるものなのですが、

今の清酒の流れは完全にその反対。ユーザーの頭の中からどんどん無くなって、

一部のファン向けコア商材や、富裕層による投機対象商材に向かっているように見えます。


「レギュラー酒」による業家連動展開で、

新たな飲み手を創造がもっとも大切な取り組みである
にも関わらず、

まったくその反対へ突き進んでいます。


清酒復権は加速度的に遠のいていると私には見えています。

誠に残念な流れです。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画