2023年12月09日

売上を追っても、売上は上がらない

これまでも何度か、このブログでも書いてきましたが、

「重要業績評価指標」(KPI)を、“売上目標”と履き違えていることが、

特に日本酒業界ではよくあるように感じます。

(だけではないのかもしれませんが…)


「売上」は“結果”なのであって、

その「売上」をつくるには、【飲み手】を創造することが必要であり、

飲酒層の【飲み手】に対して、“日本酒を飲みたい”と思ってもらう、

そのための「価値づくり」に取り組むことが必要なのです。


ここで特に日本酒業界が履き違えていることが、

(自分達が思う)「美味しい酒を造れば売れる」という強い思い込みです。

コアな日本酒ファン層や、造り手側に立ってのマーケティングでずっと来ています。


そうではなく、“ドリルを売るには穴を売れ”と言われるように、

【飲み手】が求めていることは、日本酒という酒の種類ではなく、

“飲む”という楽しい時間を、日本酒がどのようにさらにもっと楽しい時間にしてくれるか。


酒が人と人との酔いコミュニケーションツールである以上、

「家飲み」という“消費”=「結果」=「売上」を求めていては業界のシュリンクは止められません。


「外飲み」という酒が演出する酔いコミュニケーションの創出への投資が必要であり、

そのためには戦略的な業務用市場への展開投資、

業界が復権でき得るだけの【穴】=酒主体飲食店での採用絶対数と飲用促進施策をKPIとすべきなのです。


一言で言えば、【飲み場】の絶対数を増やす。ここにKPIを設定する他ないのです。


業界はいつまで過去の「結果である売上」と言える“家飲み”市場に固執するのでしょうか。

いつまで「業務用市場」は金ばかりかかって「売上」が立たないと言うつもりでしょうか。


少し前に出版された、KPIをテーマにした、とある書籍を読みながら、

再びここにその危機感を書き綴っておこうと思います。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2023年12月02日

多様化する酒類新商品が短命なのは必然

1)11月に、2種類のバーボンウイスキー銘柄のRTDが、

それぞれ別のコンビニの留型として発売されたので、

テイスティングしようとそれぞれのコンビニに買いに行きました。


すると、片方のバーボンRTDは当該コンビニ3店舗を回っても無く、

もう片方のバーボンRTDはすぐに見つけられました。


この違いはどこにあるのでしょうか?


2)話は変わって、某清酒のNBメーカー社が発売した樽熟成清酒、

そのメーカーのNB販売数量からしたらごくごく少量の本数で限定発売するも、

1ヶ月半たっても未だ完売していません。


コアファンが多い有名な地酒蔵元が同様のスペックで発売したら、

1日で完売するような本数であるにもかかわらずです。


3)また話は変わって、某酒類専門紙に、

“多様化した商品が次々と発売され、

消費者も大量生産大量消費の画一化された商品ではなく、

個性的な商品を選択するようにますますなっていく”

と現下の酒類市場を分析していました。


果たしてそうでしょうか??私はそうは思いません。

それを言うなら、消費者が個性的な商品を選択するようになっているのではなく、

酒類市場が加速度的にシュリンクしていくその過程であるに過ぎないと私には見えます。


以上1)2)3)、3つの話には、私は共通点があると思っています。


1)のRTDの話は、新たな飲み手を創造する原理原則である【業家連動】に投資をして、

市場を創っている方は残り、そうでない方は落ちているだけであり、

2)の清酒NB社の話も、川上発想で消費者起点の発想がなく、

新たな飲み手の創造に投資をすることなく、ただ流行りに乗って新商品開発をしているだけであり、

3)の話にも消費者起点が無く、俯瞰せず一部だけの流れを視野狭く見て、

ただ個性的な新商品がどんどん発売されれば市場が活気付くという錯覚に陥っているのであります。


要するに共通することは、酒類の新たな飲み手創造、市場創造には、

主体者が必要であり、主体者による投資(経費発想では無く)がなされているのであり、

新市場の創造にはさらに中長期的な期間も必要なことを認識している社が背景にある
ということ。


それ以外はただひたすら他力本願。なるべく経費を抑えて、うまいこと流行りに乗れないかな〜という、

希望的観測展開とでも言えることばかりに取り組んでいるのです。


それにより結局は投資した方は利益が上がり、事業は成長、継続し、

経費思考、他力本願の社はシュリンクする市場と共に落ちていくばかり
なのです。


そもそもメーカー数が過剰なのであり、必然として無くなる社は無くなるしかないのかもしれません。

しかしその選択は時代の流れでは無く、自社の選択が間違えているだけであるのだということに、

最後まで気がつかない社が無くなるのだということは当然であると言って良いのかもしれません。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
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