少し前ですがこの年末年始、私も帰省した際、
父が「〜町のお酒が美味しかったからまた飲みたい」とのことで、
いわゆる地酒の専門店に伺いました。
お店のファサードには“新酒”ののぼりや横断幕が大々的にかけられ、
店内に入ると、手前から結構良いウイスキーなどの洋酒が幅広く売られ、
奥にはしっかりとしたウォークインセラーが設置され、
地酒の新酒や生酒はもちろん、スティルワイン、スパークリングワインも、
しっかりと温度管理されて売られていました。
それらを回遊しながら見て回るだけでも私のような好きな人間には楽しく、
掘り出し物がないかワクワクするほどの品揃えでした。
結果、父が言っていたであろう地酒も見つけることができ購入。
この流れだけで言うと、良い買い物ができた流れのように見えますし、
こうしたお酒に詳しい客層にとって、こうした“お酒の専門店”は楽しいお店たり得るのでしょう。
しかしながら私は少し違和感を覚えました。
それは、これだけの品揃えをされている上、お店にはお客が私たちだけという状況、
さらには明らかに何かしらのお酒を探しに来ている雰囲気を出しているにも関わらず、
お店の方は、まったく接点を取ろうとして来ないのです。接客というスタンスが無い。
これでは、あまりお酒に詳しくない客層にとってみれば、
“お酒の専門店”は入りづらい、少し怖いお店ということになるでしょう。
お酒に詳しい客しか入れない店、それが“お酒の専門店”になっているのです。
これでは日本酒の新たな飲み手に対して、その門戸を閉じているようなものです。
実際に伺って改めて、その構造的な問題を実感した年末の一コマでした。
環境開発計画 山本 利晴