2025年03月29日

大手清酒メーカーの造りの質の高さ

コロナ禍の時に私は、

いわゆる“パック酒”の勉強をしようと、

各社の定番パック酒を飲み比べたことがありました。


その際にも、これらは“パック酒”として認知、

また、価格戦略含めて家庭用市場のみを狙っているため、

“安酒”としてのイメージが固まっているものの、

その品質は各社高く、正直、ブラインドでテイスティングして、

地酒の各ラインナップと優劣をつけられる人は多くないだろうと思うほどでした。


最近も、違う角度からその造りの質の高さを実感する機会がありました。


伝統的な生酛造りにこだわる、

日本を代表する老舗蔵の一つである某メーカーの、

「本醸造 樽酒」

これを、とある持ち寄りの交流会に持ってきた方がいて、

だれにも飲まれず余ったため、頂いて帰ったところ、

その製造年月を見てビックリ!

『2014.12』だったのです。


一般家庭に10年以上ただ置かれていた酒。

瓶にも少々汚れが付着しているレベルの保管状態でしたので、

中身の酒はどんな状態にあるのかと興味深く開封してみました。


注ぐと、確かに色はメイラード反応で深い茶色になっていましたが、

その香りと味わいは、決して不快なものではなく、

むしろスッキリとした樽酒ならではの心地よさも残っており、

冷やでもスッキリ、燗にしても酒の劣化を感じることなく、

深い旨みを感じることができました。


蔵で古酒用にしっかり管理された環境下のものでなく、

団地の一家庭にただ置かれていたような環境下で10年以上経った酒でも、

これだけの高い品質で愉しむことができる酒を醸す大手メーカーの酒造り。


日本の麹文化の酒は、蒸留酒はもちろんのこと、

醸造酒、清酒もしっかりした戦略で臨めば、

新市場創造、新たな成長曲線を描くことができると再確認できた、

素晴らしい経験でございました。


ただ、こうした高い酒質、造りに触れると尚更、

現時点でもその「新市場を創造する戦略」をもって臨む清酒メーカーが、

私には見られないことが余計に残念でなりません。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2025年03月22日

逆風の飲酒文化に思う

昨年は、国が基本計画として、

1日あたりの「純アルコール量」を男女別にグラムで示し、

お酒の商品にも表示を見ることが増えてきましたね。


そして今年の秋ごろには、世界保健機関(WHO)で、

そもそも「適正飲酒はない」という議論がなされる

などという情報も出ていました。


話は変わって、令和元年に内閣府がクールジャパン戦略とした一つ、

日本のとあるアニメでは、

あるシステムが各個人の適正を計測してスコア化して管理し、

係数で犯罪もそれを犯す前に潜在犯として排除、隔離されるというストーリーのものがあります。

そのアニメの世界の中でも、飲酒は犯罪係数を高めるものとされています。

(ちなみに音楽や芸術、学問も管理下や排除の対象)


自分の能力、職業や結婚相手まで、

全てをシステムが決めて、それに従うことで人々は何も考えず、思い悩むこともなく、

一定の幸せが享受できるとされている世界とその相反、対峙が描かれています。


現実世界でも東京で電車に乗ると、

繰り返し、何度も何度も、子供に言い聞かせるように、

乗車時の様々な注意喚起がスピーカーから聞こえ続けます。


ヒトの脳は体重の2%ほどの重さしか無いにも関わらず、

1日に消費するエネルギーの約20%を消費するという大変な消費量のため、

その消費量をなるべく抑えようとする、考えることをできるだけ回避する傾向にあると、

何かで聞いたことがあります。


ヒトは基本「考えない=楽」という傾向に陥りがちであるということですね。


とりとめのないことを書き連ねているようにも思えますが、

私は、これら全てに共通する問題があるように感じています。


最近出版されたNewton別冊「酒と人類」を読みました。

まさにその表題の通り、太古から人類の歴史と常に共にあった『酒』

そして何より、人類の文化そのものであると言っても過言ではない、

人類の叡智の結晶が『酒』なのですね。


これに対し冒頭に挙げたように、国や世界機関が規制や排除を仕掛けてきているのです。


これには少なくとも判断力を備えた『大人』として、

嗜好品としての『酒』を愉しむ文化的な享受を放棄、排除させるような流れに

真っ向から反対の意思を示さなくてはならないのではないでしょうか。


それとも、飲酒だけでなく、全てを国なのか世界機関なのか何かのシステムなのかに決めてもらい、

嗜好品や文化的活動、人間がそれぞれに持つ考えや判断力など排除されても何も感じない、

ただそれに従ってブロイラーのように寿命を過ごすだけのような未来に向かうことが、

ヒトの脳の宿命とでも言うのでしょうか。


私はそんなことは断じてないものと信じたいです。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2025年03月15日

郊外個人店バー運営継続の一手

先日、某東京郊外の市街地現地調査を行なっていた際、

いくつかあるバーのチェック物件の中の一つで、

酒屋の納品がちょうどされていたにも関わらず、

屋外に、そのバーで使用されていたと思われる、

冷蔵庫が数機出されていました。


一人でやられている個人店バーで、

カウンターのみの所謂“うなぎの寝所”物件ということで、

冷蔵庫全面入れ替えの費用をかけるのも、

よほどの浸水などによる故障でもない限り、

騙し騙し使っていくのが基本のはずが、

この規模の入れ替えなんてあるのか?ついに閉店か?

などと想像しながら、事務所に戻って情報を拾ってみました。


するとなんと、近隣で3店舗を経営する地場料飲店グループに、

吸収合併されるようでした。


飲食業界でも、最近有名な「すかいらーくHD」による、

「資さんうどん」買収のような大型案件は目立ちますが、


東京郊外の、こちらのバー、いってて月商100万円前後かという店を、

近くのそれほど大きくない地場料飲店グループが、

オーナーチェンジによる吸収、元のオーナーを雇い入れる、


元のオーナーは自身で運営するよりも安定する上に、

手取りも増えるという条件提示をされていると容易に想像できます。


こんな規模での買収?吸収合併と言って良い展開を行なっているのですね。


確かに、料飲店グループとしては3店舗くらいがもっとも利益率が高めやすいフェーズにあり、

物件と業態を一気に同じエリアで手に入れられるのは、

ドミナント的にも有効な買収といえるでしょうし、


された側の個人店バーオーナーからしても、

安定&手取り増を得たくなるような原価高騰の現状です。


お互いにウィンウィンな案件と想像できます。


郊外個人店バーを運営するオーナーにとって、

今後、店を残し継続させる一つの手として、

こうした手法を模索することもありで、増えてくるのではないでしょうか。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画