最初に勤めた下北沢のバーの常連さんにこんなことを言われたことがあります。
「山本くんのカクテルは本格的で美味しいけど、私には強すぎるのよね。。」
自分では徹底的にカクテルのおいしさを追求して、自信をもって提案した1杯に対して言われた言葉です。
変わって先日、
ある日本酒の蔵元を訪問した際、その商品戦略にとても感銘を受けました。
その蔵元では、蔵元の代表酒や、地元の米や、地元名産のある花の酵母を使った酒といった、
他の多くの蔵元でも取り組まれている商品戦略に加え、
お客様の飲むシーンや感情に寄り添った提案型の商品カテゴリを戦略的に展開され、
その酒質の高さ、造りのこだわりをしっかりと背景としながら、
酒の味だけでなく、ラベルデザインやキャッチコピー、商品名も、
飲み手が飲むシーンに合わせた商品造り&提案を行われています。
※訪問させて頂いた蔵元の“庭 兼 角打ち”。気持ちの良い青空の下、素晴らしい時間を過ごさせて頂きました。ありがとうございました!
そこで冒頭に書きました、自分の駆け出しの頃を思い出しました。
「技術に自信を持って、美味しいものを造れば、おのずとお客様は喜んでくれるはず。」
この勘違いが、常連さんの言葉に現れたと思っていますし、直接言ってくれるだけ有難いです。
普通はそう思っても直接は伝えることなく、飲み手は離れていきます。
「なぜ品質は昔より高くなっているのに、味も美味しく造っているのに、飲み手が減り続けるのか。。」
日本酒業界でよく聞く話ですが、その答えは、上記の私の勘違いと同じなのかもしれません。
『造り手起点ではなく、飲み手起点』
言葉で理解していても、今回訪問させていただいた蔵元のように、
お客様の喜び側に立って、それに寄り添った酒造り、商品戦略を取っている蔵元は、
多くはないのではないでしょうか。
環境開発計画 山本 利晴