2022年01月15日

お客様の喜びが日本酒の喜び

私がバーテンダーになりたての時。

最初に勤めた下北沢のバーの常連さんにこんなことを言われたことがあります。

「山本くんのカクテルは本格的で美味しいけど、私には強すぎるのよね。。」

自分では徹底的にカクテルのおいしさを追求して、自信をもって提案した1杯に対して言われた言葉です。


変わって先日、

ある日本酒の蔵元を訪問した際、その商品戦略にとても感銘を受けました。

その蔵元では、蔵元の代表酒や、地元の米や、地元名産のある花の酵母を使った酒といった、

他の多くの蔵元でも取り組まれている商品戦略に加え、

お客様の飲むシーンや感情に寄り添った提案型の商品カテゴリを戦略的に展開され、

その酒質の高さ、造りのこだわりをしっかりと背景としながら、

酒の味だけでなく、ラベルデザインやキャッチコピー、商品名も、

飲み手が飲むシーンに合わせた商品造り&提案
を行われています。

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※訪問させて頂いた蔵元の“庭 兼 角打ち”。気持ちの良い青空の下、素晴らしい時間を過ごさせて頂きました。ありがとうございました!

そこで冒頭に書きました、自分の駆け出しの頃を思い出しました。

「技術に自信を持って、美味しいものを造れば、おのずとお客様は喜んでくれるはず。」

この勘違いが、常連さんの言葉に現れたと思っていますし、直接言ってくれるだけ有難いです。


普通はそう思っても直接は伝えることなく、飲み手は離れていきます。


「なぜ品質は昔より高くなっているのに、味も美味しく造っているのに、飲み手が減り続けるのか。。」

日本酒業界でよく聞く話ですが、その答えは、上記の私の勘違いと同じなのかもしれません。


『造り手起点ではなく、飲み手起点』


言葉で理解していても、今回訪問させていただいた蔵元のように、

お客様の喜び側に立って、それに寄り添った酒造り、商品戦略を取っている蔵元は、

多くはないのではないでしょうか。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画