2022年06月25日

とある日本のウイスキー蒸留所を訪問して

先日、宮城のジャパニーズウイスキー蒸留所を訪問させて頂き、セミナーに参加させて頂きました。

miyagikyo.jpg

こちらの蒸留所の主なストーリーは、ここで特筆するまでもなく、超有名な話なので採り上げませんが、

私がこのセミナーを拝聴して印象に残ったストーリーがありました。

それは、こちらのウイスキーメーカーの創業者が、

この地に2箇所目となる蒸留所を建設すると決めた時のストーリーです。


この創業者は、

「環境が良く、近くにきれいな川があること」などのウイスキー造りに適した場所を探すのはもちろんですが、

それ以前の与条件として、「田畑を潰してしまうような場所は選んではならない」と言明したため、

どんどん内陸に遡り、結果この地に辿り着いたとのこと。

さらに、蒸留所建設の際、「樹木の伐採は最小限にとどめよ」とも指示、

周囲の緑に映えるように建物を赤いレンガ色で統一させ、

自然と共生する設計思想が反映されたとのことです。


このように、商品を製造するということの前に、

自然や、地域(の田畑)、ひいては日本の食文化を大切にする。


こうした創業者の思いが、会社の社風となり、プロダクトとしてのウイスキーの品質にも反映していると思うのです。


ただ単に、美味しいものを作って提供すればお客さんは評価してくれるといった類の思い違いにより、店が長続きしないといったことは、飲食の世界にも枚挙にいとまがありません。

同じように“良い商品をつくる”といっても、この違いは天と地の差ほどあり、お客様にはしっかりと伝わっていくのだと再確認できました。


追記;サブストーリーとして面白かったのは、

たまたま辿り着いたこの地に流れていた川の一本が新川(ニッカワ)といい、

こちらの社名に似ていたという偶然、

さらには蒸留所ができてから市や県に働きかけ、住所名に自社名を付けてもらったとのこと。

こんなサブストーリーも面白く、大切だと思いました。

二本の川に挟まれた高地で寒冷ながら湿潤な気候は、“天使への分前”を減らす効果もあるのだとか(笑)

これもまた大切なことです。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画