流通側より、
「メーカーから、もっと“提案”をして欲しい」
と言われたとの話が出たので、私も共感したのも束の間、
その話では、流通が言う“提案”とは、「お酒の新商品」であると思われていました。
もっと自分達“川上”が、良い商品を開発さえすれば、その商品(酒)が売れるから良い“提案”になると。。。
“川上から川下へ”、良い商品であれば勝手に流れる(売れる)と、いまだに信じておられるようでした。。。
これが大きな間違いであると、とうに理解されているものと思っていたのですが、
いまだに「良い酒さえ造れば売れる」と信じているとは。
卸や小売などの流通は、「(メーカーが思う)良い酒を“提案”してくれ」と言っているのではなく、
「(お客様が買ってくれる)売れる酒を“提案”してくれ」と言っているのです。
ひいては、《メーカーが売りたい酒で良いので、売れる環境を整えられる、飲み手を創造する“提案”》を求めているのです。
これは大きな違いです。
“川上川下”思考は、メーカーは造り、流通は流す。ただそうすれば自然と飲み手に届き売れる。というもので、今の飲酒市場では成立しないのです。
ではどうすべきなのか。
メーカーは、いわば【顧客創造】【飲み手創造】、
《商品を造り、V.I.(ビジュアル アイデンティティ)を統一して、飲み手が分かる美味しさの訴え方をセッティングすると同時に、飲み場を全国に創造・展開させ、外飲みでも家飲みでもどこに行っても飲める(買える)》
そこまでをトータルで組み上げて、売れる環境を創り出すところまでを求められているのであり、
それはもはや“川上川下”というただ造って流す概念ではなく、
“トータル プロデュース”。
まるで「アイドル」や「映画」「TVシリーズ」等の制作プロデュースとでも言う様な、
売り物を造り育て、売る場所をセッティングし、キーマンをキャスティングし、
売れるパッケージにして、流通に渡してあげる必要があるのです。
メーカーがただモノを造れば売れる時代はとうに終わっているはずなのですが。。
環境開発計画 山本 利晴