「重要業績評価指標」(KPI)を、“売上目標”と履き違えていることが、
特に日本酒業界ではよくあるように感じます。
(だけではないのかもしれませんが…)
「売上」は“結果”なのであって、
その「売上」をつくるには、【飲み手】を創造することが必要であり、
飲酒層の【飲み手】に対して、“日本酒を飲みたい”と思ってもらう、
そのための「価値づくり」に取り組むことが必要なのです。
ここで特に日本酒業界が履き違えていることが、
(自分達が思う)「美味しい酒を造れば売れる」という強い思い込みです。
コアな日本酒ファン層や、造り手側に立ってのマーケティングでずっと来ています。
そうではなく、“ドリルを売るには穴を売れ”と言われるように、
【飲み手】が求めていることは、日本酒という酒の種類ではなく、
“飲む”という楽しい時間を、日本酒がどのようにさらにもっと楽しい時間にしてくれるか。
酒が人と人との酔いコミュニケーションツールである以上、
「家飲み」という“消費”=「結果」=「売上」を求めていては業界のシュリンクは止められません。
「外飲み」という酒が演出する酔いコミュニケーションの創出への投資が必要であり、
そのためには戦略的な業務用市場への展開投資、
業界が復権でき得るだけの【穴】=酒主体飲食店での採用絶対数と飲用促進施策をKPIとすべきなのです。
一言で言えば、【飲み場】の絶対数を増やす。ここにKPIを設定する他ないのです。
業界はいつまで過去の「結果である売上」と言える“家飲み”市場に固執するのでしょうか。
いつまで「業務用市場」は金ばかりかかって「売上」が立たないと言うつもりでしょうか。
少し前に出版された、KPIをテーマにした、とある書籍を読みながら、
再びここにその危機感を書き綴っておこうと思います。
環境開発計画 山本 利晴
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