2025年04月12日

ある地方都市での業務店調査 part.2

先日、千葉県中西部の商業都市に伺った際、

当地のオーセンティックバーへの業調を行いました。


この都市、人口は13万人強と、

以前、こちらで記事にした九州某都市とほぼ同じ人口規模で、

比較の意味でも業調のしがいがありました。


先ず、業調前に街中を歩いて現調を行いましたが、

その印象は、「撤退空き物件が目立つ」こと。


地方都市特有の問題ともなっている駅前の百貨店閉店も、

やはりこの都市でも起きていて、

駅前の(旧)商業ビルには市の施設やカラオケが入るも、

もぬけの殻に等しい状態でした。


当然、街中にも空き物件が目立ち、

週末の夜に出歩いても、人通りはまばらでした。


夕食に地魚の老舗のお寿司をいただいた後、

オーセンティックバーへの業調を開始。


先ず1軒目には、創業15年になるというカウンターバーで、

18時のオープン直後に伺いましたが、その後1時間ほどでカウンターが満席に。


マスターにお話しを伺うと、コロナ前は若いバーテンダーを育てていたものの、

今は週末アルバイト程度で、ワンオペ営業となり、

次の世代のバーテンダーを育てることができなくなってしまっているとのこと。


この街ではもっとも流行っているバーとの記事も見ましたが、

そんなお店ですら、こうした状況なのですね。


次に、街でもっとも老舗のオーセンティックバーへ。

創業35年とのことで、店内もまさに“ザ・オーセンティック”な内装です。


こちらもやはりマスターお一人での営業とのことで、

お話しでは、この街でオーセンティックバーと呼べる店は、

今回の2軒だけになってしまったとのことでした。


東京湾アクアライン開通により、さらに夜の街から人がいなくなったお話しなどは、

北陸新幹線の金沢までの開通を受けて、金沢の夜の街から人が減った例と同様で、

日帰り出張可能による宿泊減、夜の街の景気低迷に繋がる事例だと感じました。


両店ともに素敵なバーで、常連客もしっかり付いているようでしたが、

週末の営業にしては勢いがあるという感じでもなく、

平日の状況は想像に難くないと思いました。


このままでは将来的に、10万人〜30万人程度の地方都市から、

オーセンティックなバーは無くなってしまうのではないかとさえ思える状況で、

本格的な日本のバー文化は、主要都市から大都市だけの文化となってしまうのでしょうか。


前回の九州地方都市の業調でも感じましたが、

東京や大都市の業務店ばかり見ていては見誤ることもあることを、

今回も再確認できた有意義な調査機会となりました。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画