当地のオーセンティックバーへの業調を行いました。
この都市、人口は13万人強と、
以前、こちらで記事にした九州某都市とほぼ同じ人口規模で、
比較の意味でも業調のしがいがありました。
先ず、業調前に街中を歩いて現調を行いましたが、
その印象は、「撤退空き物件が目立つ」こと。
地方都市特有の問題ともなっている駅前の百貨店閉店も、
やはりこの都市でも起きていて、
駅前の(旧)商業ビルには市の施設やカラオケが入るも、
もぬけの殻に等しい状態でした。
当然、街中にも空き物件が目立ち、
週末の夜に出歩いても、人通りはまばらでした。
夕食に地魚の老舗のお寿司をいただいた後、
オーセンティックバーへの業調を開始。
先ず1軒目には、創業15年になるというカウンターバーで、
18時のオープン直後に伺いましたが、その後1時間ほどでカウンターが満席に。
マスターにお話しを伺うと、コロナ前は若いバーテンダーを育てていたものの、
今は週末アルバイト程度で、ワンオペ営業となり、
次の世代のバーテンダーを育てることができなくなってしまっているとのこと。
この街ではもっとも流行っているバーとの記事も見ましたが、
そんなお店ですら、こうした状況なのですね。
次に、街でもっとも老舗のオーセンティックバーへ。
創業35年とのことで、店内もまさに“ザ・オーセンティック”な内装です。
こちらもやはりマスターお一人での営業とのことで、
お話しでは、この街でオーセンティックバーと呼べる店は、
今回の2軒だけになってしまったとのことでした。
東京湾アクアライン開通により、さらに夜の街から人がいなくなったお話しなどは、
北陸新幹線の金沢までの開通を受けて、金沢の夜の街から人が減った例と同様で、
日帰り出張可能による宿泊減、夜の街の景気低迷に繋がる事例だと感じました。
両店ともに素敵なバーで、常連客もしっかり付いているようでしたが、
週末の営業にしては勢いがあるという感じでもなく、
平日の状況は想像に難くないと思いました。
このままでは将来的に、10万人〜30万人程度の地方都市から、
オーセンティックなバーは無くなってしまうのではないかとさえ思える状況で、
本格的な日本のバー文化は、主要都市から大都市だけの文化となってしまうのでしょうか。
前回の九州地方都市の業調でも感じましたが、
東京や大都市の業務店ばかり見ていては見誤ることもあることを、
今回も再確認できた有意義な調査機会となりました。
環境開発計画 山本 利晴