2025年08月09日

いい酒なら売れる?

私の料飲店を見る時の一つのモノサシに、

「有名銘柄の日本酒」をおいてあることを、

タペストリーやメニューで大きくうたう店の店舗力は弱い。

というものがあります。


酒類業界でもよく、

「いい酒を作れば売れるはず」

「いい酒を仕入れれば売れるはず」

ということが間違いであることを指摘する言も聞かれますね。


私自身も昔、

バーテンダーとしての技術研鑽に邁進していた若い頃、

お客様に言われた言葉が忘れられないのですが、

「山本くんのカクテルは美味しいんだけど、私には合わないかな…」と。


これらには共通点があります。


どの例も、向いている方向が『酒』というモノであり、

自身を介してその反対にいる『飲み手』に背を向けているという点です。


と、ここまではよくどこかで聞く話ですが、ではなぜそうなってしまうのか。


図解してみますと、

【作り手】→【売り手】→【飲み手】のあるべき姿に対して、

【作り手】⇔【売り手】/【飲み手】という状態で、


【モノ】⇔【ヒト】/【ヒト】ではなく、

【ヒト】⇔【ヒト】/【ヒト】なのですね。


「有名銘柄の日本酒」をウリにする居酒屋ならば、

その店主が蔵元に訪問して気に入ったとか、


「いい酒を仕入れれば売れるはず」という酒屋なら、

蔵元と交流する中で、人間関係が深まったり、


カクテルや技術に邁進する料理人などであれば、

憧れの先輩や同業者がいて、そうなりたいと追いかけていたり、


それらは「酒」(や料理)という単なる【モノ】ではなく、

そこに【作り手】という【ヒト】同士の関係がお客様よりも強く存在するということです。


この点を履き違えたコンサルやマーケティングを行うと、

“モノからヒト(コト)へ”とか、“モノからヒト(トキ)へ”

なんていうキャッチが通っているように見えますが、うまくいかないのですね。


実際の流通でおきていることは、

“ヒト(コトやトキ)からヒト(コトやトキ)へ”だから、

“モノからヒトへ”と言われる側はピンとこないのですね。


「いや自分は蔵元(ヒト)の良さを飲み手(ヒト)に伝えているのだ、何が悪い」と。

ごく一部の飲み手に響くからといってそれが全てかのように。


この点を打破しない限り、日本酒の復権、新市場創造はあり得ないと思っています。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画