東京ではまだまだ見慣れない銘柄の、
各地の小さいけれどエッジが立った魅力的な蔵元が集うイベントで、
様々な蔵のブースでお話しを伺いながらお酒をいただくのが楽しく、
私もつい、チケットを当日倍買い増してしまうほどの素敵なイベントでした。
そこに出店されていた一つの清酒メーカーさんが、
研究所発の試験醸造酒を提案するブースを出されていて、
私も以前から注目していたメーカーの一つであったので、
全種類いただきながらお話しを伺ってきました。
ブースに立たれていた研究所の造り手さんは、
熱くお酒について語られていましたが、
私にはどうしても残念ながらもったいさや違和感が残りました。
それは、同じメーカーにも関わらず、
研究所発信では、新しい日本酒の飲み手を創造しようと、
まったく新しい酒質のお酒を開発提案されているにも関わらず、
この日とはまた別の機会でお会いした同社の営業部門の方々は口を揃えて、
「業務用営業には絶対に力は入れない」
と口を揃えていたのです。
お酒の新市場創造には業務用展開が必要不可欠であり、
それを牽引すべき立場の大手清酒メーカー営業は、
目先の費用対効果が立たないとの理由で業務用に向かわず、
家庭用での刈り取りばかりに精を出しているのです。
こうした現場のスタンスとは反対に、
同社の研究所では新たな酒質で新たな飲み手を創造しようと言っている。
まったくちぐはぐな取り組みと感じざるを得ませんでした。
牽引社不在の清酒業界は、
この調子でちぐはぐなまま、どこまで市場シュリンクするのでしょうか。
環境開発計画 山本 利晴
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