2025年03月15日

郊外個人店バー運営継続の一手

先日、某東京郊外の市街地現地調査を行なっていた際、

いくつかあるバーのチェック物件の中の一つで、

酒屋の納品がちょうどされていたにも関わらず、

屋外に、そのバーで使用されていたと思われる、

冷蔵庫が数機出されていました。


一人でやられている個人店バーで、

カウンターのみの所謂“うなぎの寝所”物件ということで、

冷蔵庫全面入れ替えの費用をかけるのも、

よほどの浸水などによる故障でもない限り、

騙し騙し使っていくのが基本のはずが、

この規模の入れ替えなんてあるのか?ついに閉店か?

などと想像しながら、事務所に戻って情報を拾ってみました。


するとなんと、近隣で3店舗を経営する地場料飲店グループに、

吸収合併されるようでした。


飲食業界でも、最近有名な「すかいらーくHD」による、

「資さんうどん」買収のような大型案件は目立ちますが、


東京郊外の、こちらのバー、いってて月商100万円前後かという店を、

近くのそれほど大きくない地場料飲店グループが、

オーナーチェンジによる吸収、元のオーナーを雇い入れる、


元のオーナーは自身で運営するよりも安定する上に、

手取りも増えるという条件提示をされていると容易に想像できます。


こんな規模での買収?吸収合併と言って良い展開を行なっているのですね。


確かに、料飲店グループとしては3店舗くらいがもっとも利益率が高めやすいフェーズにあり、

物件と業態を一気に同じエリアで手に入れられるのは、

ドミナント的にも有効な買収といえるでしょうし、


された側の個人店バーオーナーからしても、

安定&手取り増を得たくなるような原価高騰の現状です。


お互いにウィンウィンな案件と想像できます。


郊外個人店バーを運営するオーナーにとって、

今後、店を残し継続させる一つの手として、

こうした手法を模索することもありで、増えてくるのではないでしょうか。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2025年03月08日

酒造コラボ和食店での発信の実際

先日、某酒造と某外食企業がコラボしている、

開店10年を越えた和食店に業務店調査に伺いました。


酒造の発信拠点としての立地は最高で、

お店も継続していることから、

一定の売上は立っていると見受けられます。


今回は、その酒造のフラッグシップ酒と、

前菜とのマリアージュを愉しむコンセプトのコース料理をオーダー。


「食前酒です」

とだけ言って高級フラッグシップ酒が提供されたのには驚きました。


ただ、その一言以外には何もアプローチやお酒の紹介はなく、

この高級フラッグシップ酒について、

当たり前のように知っている客層のみをターゲットにしているのだろうかと思うほどで、

もったいないと感じられました。


何も紹介なくただその酒を飲んだ人には、その酒の良さは半分も伝わらないでしょう。


さてその後、「燗酒」をください。とオーダーすると、

その酒造のラインナップで私も「燗酒」に最適だろうと思うお酒を指して、

「こちらでしょうか」と言うので、それでお願いしますと伝えると、

「樽酒」が冷やで提供されました。


私の声がこもっていたか、小さかったかと思い、

そのとっくり1本はそのままいただき、

追加注文で、再び「燗酒」と伝えると「?」な反応だったので、

ご一緒の方が「熱燗(あつかん)」をと伝えると理解されたようで、

「燗酒(かんざけ)」が提供されました。


一般の和食店や居酒屋であれば、

こうした接客サービスでも致し方ないかと思うところですが、

こちらは酒造の発信店舗。


そのコンセプトを踏まえると、この質には残念に感じてしまいます。


酒造の方もアテンド等で訪れるものと思われますが、

特段何も感じていないのでしょうか。


客単価1万円を超える支払いの同店です。

お店の運営としては継続できているのですから良いのでしょうが、

なんとももったいない限りと感じてしまいます。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:業務店調査
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2025年03月01日

タダになる2,000円飲食チケット

先日、自宅のポストに入っていた、

近所の韓国料理店の2,000円チケット。


なんと、、2,000円未満の飲食でも使えるということで、

千円台の飲食なら無料になる割引券でした。

ということで、ランチに2名で伺いました。


こちらのお店、

飲食コンサルも手掛けるオーナーによる出店で、


某飲食店舗デザイン誌に掲載されたという内外装は、

調布でありながら西麻布の韓国料理店かというイメージで、


お酒のメニューを見ても、

シャンパーニュが7万円とか、ワインが1万円とか、

まさにその価格設定も西麻布的と言えるようなものでした。


ただ、お料理はシンプルに美味しく、

オーナーが子どもの頃から食べていたというコンセプトが、

そのまま表現されたような家庭的な優しい味わいでした。


席取りも19坪20席というゆったり設計で、

落ち着いた空間と相まって、完全に高級店の様相でした。


さらにはこちらのお店では、

就労困難者の支援も行われており、

地域社会的にも意義ある出店と言えるスタンスのお店なのですね。


と、


ここまで書いてきてやはり感じるものがあるわけです。


家庭的な優しい味わいの韓国料理に、就労困難者支援を、

調布で西麻布的デザインを施した高級店イメージで提供され、

ドリンクには7万円のシャンパーニュなどの価格帯をオンメニューされている。


その結果、オープン半年も経たずに、

タダで飲食もできてしまう2,000円チケットを配布しているのですね。


どう見てもバランスが悪く、

コンセプトが伝わらない表現にもったいなさを感じました。


実際に飲食店舗でどのように思いを形にして伝えるか、

シンプルに考えればそれほど難しくないはずですが、

実際にはなかなか難しくなってしまうことも少なくないのですね。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:雑感
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画