2021年10月16日

地域の魅力を伝える【場】Bar

先週末、勝沼のワイナリーを巡る出張へ出ました。

土日二日間合計で23km程度を歩き回り、9つのワイナリーや観光施設を訪ねてきました。

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勝沼地域を歩いてまず何より体感することは、勝沼ぶどう郷駅を降りてからずっと、ぶどう畑の中を歩いていると言って良いほど、山肌や道路脇はもちろん、民家に見える普通の家の軒先まで、ひたすらに“ぶどう”“ぶどう”“ぶどう”であるということです。

昔、バックパックで歩いたフランス ノルマンディーのシードル街道のりんごの木々を思い出しました。
その時も現地を実際に回ったことで、カルヴァドスが大好きなお酒になり、20年以上経った今でも、探訪の記憶は鮮明に蘇ります。

このように、地域の魅力が伝わるには、実際に現地に来てもらうことが最も大切であることは言うまでもありません。

しかしながら現地に滞在する中で、後々まで記憶に残り、例えば勝沼であればどこのワインを、ノルマンディであればどこのカルヴァドスを、その後帰ってからも買ったり飲んだりするかという時には、何が重要な要因になるか?

ただ現地を歩くだけや、試飲したというだけではそうはならないでしょう。

私が今回の勝沼探訪で再確認したのは、“人を介して魅力を伝える”ことの大切さであり、

訪問者に直接話ができる【場】Barの必要性でありました。

あるワイナリーでは自由見学施設や売店、コイン試飲コーナーがあり、見たり飲んだりして時間を過ごすことはできましたが、購入したり継続して飲もうと思ったりする気持ちは湧きませんでした。

またあるワイナリーでも見学や売店、試飲があるのは同じながら、
【場】Barカウンターで試飲している時に話かけて下さり、造り手の思いや歴史、さまざまなストーリーを聞かせて下さったり、こちらからの質問にも答えて頂くなどしながら、ワインの試飲を楽しむことができ、

そのままそこのワインを購入するとともに、そのワイナリーについて識ることで、今後も飲みたいという気持ちが湧きました。

訪問者の貴重な時間を有意義に使わせてもらい、しっかりと自社や地域の魅力を伝えることができる【場】Bar。

【場】Barがなければ、自由見学や売店散策している訪問者の足を止めて、押し付けではなく有意義に魅力を伝えることは簡単ではないでしょう。

【場】Barがあるだけで、味を利くための試飲の時間内に+α、自社や地域の魅力を伝えることができ、訪問者の時間も余計に頂くことなく、試飲中の時間内に行うことができるのです。

“人を介して魅力を伝える”機能としての【場】Bar。

今回の勝沼だけでなく、20年以上前のノルマンディ カルヴァドスでもやはり同じことを感じ、今でも記憶が蘇るのは“人を介して伝えられた魅力”です。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2021年10月09日

『定番酒』

清酒の業界に『定番酒』という言葉があります。

「『定番酒』は売りにくい、季節酒や限定酒が売りやすい」

「『定番酒』は飽きられているのではないか」

などという感じで使われます。

Wikipediaで「定番」を調べてみると、

“流行や情勢にかかわらず安定した売り上げを確保できる商品”

“(品番が一定であることが)転じて一般に広まり、当たり前となっていること、決まりきっていること”

とあります。

それでは清酒において『定番』という言葉は成立するのでしょうか?

否。

国税庁のデータ「酒類消費数量」で清酒は6%もないのであり、とても一般に広まり、当たり前の酒になっているとは言えず、

また、2011年の東日本大震災の復興支援の機運による増はあったものの、それからの10年だけみても、いわば“流行や情勢”に押される形で三割(課税数量)も減少してしまっています。

私たち「バー」洋酒の業界から見ても、いわゆる蔵元の『定番酒』と言われる酒自体馴染みがなく、まったく新しい酒であると言って良い状態です。

いわんや“一般人”をや

であります。

『定番酒』という言葉自体がそもそも成立していないのであります。

だからこそ、清酒、日本酒の復権には、清酒の既存のファン、日本酒専門店といった既に飲まれている“6%”に対してばかりでなく、

そもそも飲んだことのない、日本酒の魅力に接したことのない“6%”以外の層が愉しめるような新たな“飲み【場】”を増やす展開が必須なのであり、

それをせずして新たな“飲み手”の創造はあり得ないといって良いと思っております。

環境開発計画 山本 利晴
タグ:酒類業界
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画

2021年10月02日

麹文化の酒の飲み【場】を増やす〜SNSコミュニティの外へ〜

難しい言葉ですが、「エコーチェンバー現象」(※Wikipediaへリンク)ということが言われています。

要は、“閉鎖的コミュニケーションの繰り返し”

日本酒業界では、

年齢性別を問わずいる“コアな日本酒ファン”と業界関係者が集まる日本酒イベントが各地で開催され、

造り手と飲み手、さらにはファン同士がSNSでも繋がり、

その中で似た考えや意見、共感を得やすい情報のみが増幅、強化されていくことで、

新たな気づきを失い、知らず知らずのうちに新たな飲み方や飲み手が愉しめるような多様性を排除してしまっているような現象が見られます。

「イベント盛況、実需低迷」

「イベントやSNSでは若い人や女性に日本酒ファンが増えているのに、実需は伸びない」

「海外ハイエンドレストランでの好反応や、著名人や専門家、インフルエンサーによる発信強化がなされるも、減少傾向に歯止めがかからない」


といったことは、私はこの「エコーチェンバー現象」だと思っています。

要は、好きな人や業界内だけで盛り上がっているだけで、その外にいる“新たな飲み手の創造”にはまったく繋がっていないと言って良いのです。

ではどうすれば良いのか?

こういったSNSで繋がった同類コミュニティの外へ『日本酒の飲み【場】を増やす』ことが必要と考えます。

2本前のブログ記事でもお伝えした通り、

■日本酒専門店ではない既存の料飲店のドリンクメニュー採用を展開する。

■いわゆる飲食店ではない【場】への豊かさを高める要素として“飲み【場】”の併設を展開する。

この2つを“ゼロイチ”戦略で展開することしかないと確信しております。

既存コミュニティの外へ日本酒の良さ(価値)を伝える!

このための投資と中長期的に集中して展開する戦略をもって臨まない限り、

日本酒の実需が根本的に伸びることはないと言って良いと思っています。

環境開発計画 山本 利晴
posted by B.A.R planning at 12:00| 環境開発計画